日本エネルギー会議

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帰町計画

先週、富岡町からの定期便で「帰町計画」なるものが送られてきた。まち・ひと・しごと創生総合戦略と副題がつけられたこの計画は、今後の富岡町の復興のイメージと時間軸について町がどのように考えているかを知るのに大いに役に立つ。A4版で23ページの小冊子の冒頭には
「町民一人ひとりに寄り添った帰還環境を整える」
「帰還判断に資する考慮要件を整理し評価する」
「適切な帰還開始時期を見極める」
とあり、当初帰還する人数は少なくならざるを得ないことがうかがえる。また、「町民の意見を踏まえて」と断って、第二次復興計画で決めた平成29年4月の区域解除に伴う帰還開始を計画の前提としている。

人口目標を掲げたことも目新しい。計画では平成31年度末で居住人口を3000~5000人と見込んでいる。震災前の人口は15000人だったから、当面その5分の1~3分の1でスタートしようとしていることがわかる。第二次復興計画策定の時点では帰還者2500人、外部からの新たな移住者1100人の計3600人を見込んでいたが、ここに直近の住民意向調査の結果やこれから行われる住環境整備の効果を考慮して幾分の幅をもたせたようだ。県の推定では富岡町は5500人ということなので、町の方が現実的な数字だ。目標の平成31年度末は2020年オリンピックイヤーであり、これは政府の地方創生のゴールに合わせたものだ。

来年区域解除を予定しているのは総面積の3分の2にあたる解除準備区域と居住制限区域の二区域だ。残りの帰還困難区域の今後について夏までに考え方を打ち出すとしているのは今回の帰町計画の新味だが、これも国が帰還困難区域について夏までに方針を出すことに対応したものだ。

計画では帰還に関する考慮要件としてライフラインなど14項目を挙げているが、そのひとつに産業がある。その内容は町内事業者の事業再開と新たな産業集積構想などによる雇用の確保だ。あいかわらず産業として最も存在感のあった福島第二原発の再稼働問題には触れずじまい。知事が県内全原発の廃炉を求めている中では独自に立地町(富岡町、楢葉町)が方針を打ち出せる状況でないのは理解出来るが、このままでは復興計画、帰還計画はあまりにも大きな不確定要素を内蔵したまま進むことになる。

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