日本エネルギー会議

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関心高まる廃炉工事

近々廃炉工事が始まる原発立地地域では、廃炉の経済波及効果への関心が高まっている。県や市町村は廃炉工事への地元企業の参入促進を電力会社に要望し、電力会社も説明会を開くなど協力姿勢を見せている。廃炉工事は建設工事や定期検査工事のように受注者側に極めて高度な品質管理能力を求めることは少なく、地元企業にとっての参入障壁が今までより低い。

電力会社としても地元企業が参入することで、地元住民や自治体が原発の再稼働やその先にある新増設への理解を深めてもらえる機会と捉えている。また、県や地元企業が関与することで、低レベルから中レベルの廃棄物の処分場を地元が受け入れてくれる道が拓けることも期待している。

廃炉工事は建設工事に比べてより長く続くこと、繰り返し作業が多いこと、作業者の被ばくが少ないことなど一度参入すれば数十年にわたって安定的な受注が期待さ
れる。特にPWRは二次系の建屋や機器に放射能汚染がないため、二次系に関しては普通の火力並みの解体工事となる。

四国電力によれば、伊方原発1号機廃炉は30年間で約400億円かかる。また、関西電力の美浜1、2号機は45年度、日本原電の敦賀1号機は39年度までに廃炉を完了する計画。費用はそれぞれ680億円、363億円と見積もっている。

これからの原発の標準的な建設費4000~5000億円に比べると小さい額だが、建設の場合は原子炉メーカーの設計費、機器の製作費、据付費などが大きいので、実際に地元に落ちる金は2~3割。そう考えると廃炉工事は労務費が多いので地元に発注する割合は建設より大きくなる可能性がある。

廃炉工事に絡んで新たな建設工事も出てくる。それは使用済み燃料の中間貯蔵施設と中低レベルの放射性廃棄物処分場だ。これも機器は少なく建築土木工事が主体なので地元企業が下請けで入れる可能性は高い。電力会社としては建設に当たって原発を解体することで出てくる鉄やコンクリートを再利用することで処分する放射性廃棄物のボリュームを減らしたい思惑もある。

廃炉工事は大半が従来型の技術の繰り返し。特殊な装置や工具が必要なのは放射線が強い炉心周りを中心にした部分で、そこはロボットが主役だ。現在、福島第一原発の廃炉のニュースがしばしば流れるので、廃炉工事の困難さが強調されるが、無事に運転を終えて廃炉される原発は環境がはるかに良い。被ばく線量も工事金額も事故炉でなければそれほどでもない。工事の体制は電力の子会社が元請けになって地元企業が下請けする形が多くなると思われ、働く人は地元中心となる。廃炉工事は地味だが地元経済に長きにわたって貢献することになる。 

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