日本エネルギー会議

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うーん。隠蔽ですね

夜のテレビニュースは福島第一原発の事故当時、東電の社長が炉心溶融という言葉を使わないよう社内に指示していた問題がNHKなどで大きく取り上げられていた。第三者委員会からの報告を現在の広瀬社長が受け取る場面から始まり、記者会見のやり取りもいつもより詳しく報じられた。事故当時に武藤副社長の会見の席で、広報の担当者が「この言葉は使わないように指示が出ています」と副社長に耳打ちした音声がマイクに拾われている映像も映し出された。

広瀬社長が「炉心溶融を使わないよう当時の社長が指示し、公表を差し控えたことは重大な事実だ。痛恨の極みであり、社会の皆様の立場に立てば、隠蔽と捉えられるのは当然だ」と発言したことに記者が「隠蔽と捉えられるのは当然と言っているのは、会社としては隠蔽ではないということか」と食いついた。それに対して広瀬社長は「一般の方の立場からそう言っている」と言い逃れようとしたが、さらに記者から「社長としてどう認識しているか」と突っ込まれ、天を仰ぎながら「うーん。隠蔽ですね」と答える様子が放送された。

キャスターは「歯切れが悪い」と評していたが、他人事のような言い方は確かにおかしかった。深々と頭を下げることともマッチしておらず、その動作さえ型通りのように思えてしまう。往生際が悪いとの印象を与えてしまい、東京電力という会社の体質が治っていないのか、それともあのような表現を採ることに固執した社内勢力がいたのかとの疑念を呼び起こさせた。

舛添前都知事の定例記者会見でも見られたように、素直に認めることが問題をこじらせないようにする最も良い方法だ。非難をかわそうといろいろ考えるからこういうことになる。事故を独自に調査してきた新潟県の技術委員会の1人である新潟大学名誉教授の立石雅昭委員は「隠蔽だったと認めたことは東京電力が調査結果を受け止め踏み込んだ総括を行ったと思うので評価したい」と述べたと伝えられたが、記者会見でのやり取りを見れば違った評価をするだろう。

調査をした第三者委員会の三人のメンバーの一人が、舛添前都知事が雇った弁護士だったことで「お手盛り、身内の調査」という印象を与えてしまった。再発防止策として、事故の際に使う用語を技術的に判断する責任者を設置することや社会の目線に立った情報発信を社長に提言する仕組みを取り入れること、それに情報発信の訓練や緊急時マニュアルの理解度テストを実施することなどが示されたが、今度はこちらが「うーん。そんなのが対策になるの」と唸る番だ。

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