日本エネルギー会議

  • 設立趣旨
  • お問合せ

押し寄せる難民

刻々と迫る国民投票。その行方や我が国への影響など、英国のEU離脱の是非は連日ニュースで大きく取り上げられている。離脱組の主張の一つに難民の受け入れ問題がある。多くの難民が地中海をわたってギリシャに、あるいはトルコを経由して東欧諸国に殺到している。彼らは最終的にはドイツ、フランス、イギリスに向かい、イギリスでは離脱派はEUの難民受け入れ方針に従うことで雇用が奪われると考えている。

難民が押し寄せた国々は大国ではないため、何十万人という中東からの難民の対応は国として財政的にも重大問題となっている。そこで思い出されるのが福島第一原発の事故の際、原発近くの町から何万人という人々が着の身着のまま山間部あるいは、いわき市などに避難したことだ。いわき市は福島県内で人口が一番大きな都市だが、避難者の数もそれに見合って多かったのでやはり混乱した。

私も富岡町から川内村へ避難した一人だが、東日本大震災に続く福島第一原発の事故と熊本地震との違いは、人々が暮らしている家から遠く離れなくてはならないかったことだ。熊本では家が壊れても、多くの人は近くにテントを張ったり、車の中で過ごしたりすることが出来た。原発事故での避難は火山の噴火による避難に似ている。

注目したいのは、難民も原発事故による避難も、とりあえず避難した先の地域が能力を超える対応に追われるということだ。福島第一原発の事故の際に、大熊町は田村市都路地区に、双葉町は埼玉県の加須市に、富岡町は川内村に、浪江町は飯館村から福島市に避難するよう各自治体が誘導した。その結果、山間部の町村では、人口の何倍もの避難者を体育館などに受け入れなくてはならなくなり、大混乱を生じた。事故が拡大するにつれて山間部の自治体そのものも避難しなくてはならなくなり、結局はさらに遠くの郡山市、福島市などへ一緒に移動したのだ。

あたかも風下に火の手が迫るように、避難者の波は次々と遠方に波及していく。現在、原発立地自治体とその周辺自治体では、避難計画の見直しが行われているが、風向きや道路事情によってどのような大量の避難者が押しかけてくるかもしれず、食料、燃料、消耗品の備蓄を含め十分な準備をしておく必要がある。

  • データベース室
  • エネルギーとは?
  • 世界と日本のエネルギー
  • 原子力の論点
  • 放射線と健康
Facebook Twitter