日本エネルギー会議

  • 設立趣旨
  • お問合せ

仮置き場から温室効果ガス

福島第一原発の事故で原子炉からセシウムなどの放射性物質が福島県内などに拡散し、今も巨額の金と労力を使って除染が行われている。この除染により出てくるのが放射性廃棄物で、フレコンバッグと呼ばれるビニール系の黒い袋に入れられている。将来は福島第一原発近くの中間貯蔵施設に運ばれる予定だが、今は浜通りの各地域に3段(不燃物)から5段(可燃物)に積み上げられて主に帰還困難区域などの田畑に仮置きされている。その様子は写真のように住民の帰還意思を萎えさせるばかりに圧巻だ。



よく見ると黒いフレコンバッグの上にグリーンやブルーの遮水シートが被せられ、煙突のようなものがニョキッと出ている。これはいったい何なのか。
実はフレコンバッグの主な中身は、剥ぎ取った表土、落ち葉や刈り取った草木などであり、長期間仮置きすることで陽の光を浴びて中にある草木や土の中にある有機物が温められて高温になるとともにメタンガスが発生し、場合によれば火災を起こす恐れがあるため、取り付けられたガス抜き煙突なのだ。断面図を見るとこのようになっている。

問題は、この煙突から出てくるメタンガスが温室効果ガスの中では、二酸化炭素の21倍(ある資料では25倍)も温室効果がある強烈なガスであることだ。地球全体の排出量からすれば二酸化炭素の数分の1であるが、温暖化のためには、より抑制が必要なガスだ。

人為起源の温室効果ガスの総排出量に占めるガスの種類別の割合
(2010年の二酸化炭素換算量での数値: IPCC第5次評価報告書より作図)

メタンは、湿地や池、水田で枯れた植物が分解する際に発生し、牛など家畜のゲップにもメタンが含まれている。このほか、天然ガスを採掘する時にもメタンが発生するため、アメリカの各州でも最近環境問題になっている。放射性廃棄物の仮置き場でも、定期的に廃棄物の保管状態を確認し、白煙や水蒸気などが確認された場合は内部の温度などを測定し、適正に管理することになっている。

原発は温室効果ガスを出さない電源であることをウリにしているが、大事故を起こした福島では放射性廃棄物から思わぬ温室効果ガスが出ている。

  • データベース室
  • エネルギーとは?
  • 世界と日本のエネルギー
  • 原子力の論点
  • 放射線と健康
Facebook Twitter