日本エネルギー会議

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事故訓練でのハプニング

7月14日、伊方原発3号機で行われた重大事故の訓練でハプニングがあった。訓練中に参加した80人のうち2名が体調不良で倒れ、産業医が熱中症と診断した。訓練は約1時間中断。訓練後に原子力規制委員会の更田委員長代理は「作業手順に改善を要する点があった」と再訓練を指示した。

報道によれば、更田氏は作業員の体調管理や配置といった問題点も指摘。「(事故時は)もっと過酷な状況になる可能性がある」と語ったという。

私は福島第一原発の事故について講演する際に、必ず福島第一原発の事故はこれ以上ないくらいに良い条件で起きたことを忘れてはいけないと話している。
平日の昼間、暑くもなく寒くもなかった。雨や雪は降らず、所長は在席、構内に作業員が数千人いた。本社との通信も途絶えなかった。建設間もない免震重要棟が使えた。海沿いの道路以外は高速道路も含め、幹線道路の損傷はほとんどなかったなどのことだ。

原子力規制委員会は今回の対策を伊方原発に限定せず、全国の原発に水平展開すべきだ。更田氏が言うように、もっと過酷な状況についても事例を集め、備えるべき対策を示すべきではないか。電力会社などでつくる原子力安全推進協会でも、事故対応の重要課題として取り上げる必要がある。事故後の廃炉工事では暑くなると熱中症が頻発した。原子力規制委員会もこのことを知っていたはずで、伊方原発で初めて気がついたというのでは心もとない。

原発の現場では全面マスクに重ね着の作業服など重装備が熱中症対策を難しくしている。夏場の定期検査工事はひたすら蒸し暑さとの戦いだ。半年ほど前に北海道電力の泊原発で大雪の中で原発への出動訓練を実施したニュースを聞いたが、参加したのが自衛隊と警察だったと知ってその程度かと思ったものだ。

産業医は訓練のためにいたのか、それとも常駐しているのかはわからない。休日などは産業医もいない場合があるだろう。そうなれば誰が診断や手当を出来るのか。事故対応中に火災、ガス中毒、酸欠なども発生すれば、一度に多くの被災者が出るので心配だ。医師や看護師を第一次出動要員にしているかも気になるところだ。学術会議ではないが「想像力」が試されるところだ。

訓練の中断により一部手順の確認が出来なかったことで、原子力規制委員会が四国電力に再訓練指示をしたことは当然だが、人命にかかわり、現場での事故対応に遅れが出かねないこの問題を、伊方原発だけの問題として片付けるべきではない。

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