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【北村俊郎】 復興計画のリセットを(その一)

「原発推進者の無念」の著者北村俊郎氏から、「復興計画のリセットを」と題した連載記事が届きましたので、ご紹介致します。※本シリーズは全8回を予定しております。

東日本大震災からの復興は、目下我が国最大の課題だが、その実現は順調であるとは言い難い。特に福島第一原発の事故の影響をもろに受けた福島県の浜通り地域の復興は、スタートからして遅れている。今年になって、この地域の自治体の首長選挙において通常は有利と見られる現職があいついで敗れたことは、復興の緒にもつけない住民の不満が噴出している証と見ることも出来る。

避難対象となった双葉郡の自治体は避難直後から住民たちの避難生活支援とともに、一斉に、将来の帰還、復興に向けた計画つくりをスタートさせている。国による除染を比較的汚染の少ないところ、あるいは道路や公共施設から始め、役場が元の地域の中に戻ることで、住民サービスが出来るようにして住民の帰還を促す。それと同時に商業施設や病院などの再建、誘致を行い住民生活に不便のないようにする。新たな企業誘致をして雇用も確保し若い人にも戻って来てもらうようにするというものである。

自治体は、それまで住民が数多く避難しているところに仮設住宅を提供し、仮設住宅の期間が終われば、以降は公営住宅を住民の希望する比較的利便性の高い場所に建設し、将来の帰還までを過ごさせるといった計画を進めようとした。ところが自治体の計画は最初からつまずいた。除染が進まないのである。人手不足もあるが、中間貯蔵施設がなかなか決まらないことが響いた。特に帰還困難区域のように高線量の場所では、除染方法などがまだ手探りの状態だ。除染が遅れれば、自治体は道路や上下水道など地震と津波の被害を復旧させることが出来ない。いまだに町内のあちこちに仮設のトイレといった状態だ。

仮設住宅の使用可能期間は二年間とされているが、すでに延長を余儀なくされている。遅れていた公営住宅建設が、住民たちの希望する利便性の高い「いわき市」や「郡山市」の土地の確保の困難さや、請負入札の不調で遅れてしまった。双葉町は当初、埼玉県加須市に集団で避難し、仮役場も置いたが、住民の多くが福島県内に戻って帰還を待つことを望んだために混乱し、町長が替わる事態となって公営住宅の取り組みも進んでいない。このままでは、この先も仮設住宅での避難生活が数年は続く見通しだ。では、仮設住宅は満杯かといえばそうではない。郡山市や会津若松市の仮設住宅などでも、ポツポツと空きが目立ち始めているのだ。

国や自治体が行う住民アンケート調査の結果、「戻らないことに決めている」「今の状態では判断出来ない」などの意思を表明する住民の割合が、回を追うごとに増加し、半数を占めるところも出てきており、自治体は焦りを感じざるを得なくなっている。

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