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【北村俊郎】 復興計画のリセットを(その六)

先週、福島県避難者支援課から郵送されてきた「ふくしまの今が分かる新聞」によれば、県と市町村は平成27年度までの入居に向けて、概ね3700戸の復興公営住宅の整備を進めている。

目的は避難している人々のコミュニティーの維持、形成だという。完成イメージ図を見ると、バリアフリーやユニバーサルデザインを配慮した鉄筋コンクリート4階建てのアパートだ。場所は福島市、郡山市、いわき市、二本松市、会津若松市、三春町、桑折町となっており、双葉郡8町村ではない。要は、避難者の多い都市部に仮設住宅に代わってしっかりした住居を提供し、高齢者や障害者を優先に、そこでまとまってコミュニティーを作って何年か先の帰還まで待ってもらおうということだ。

この施策は、私が(その四)で提案した2案のうち、都市部に町村専用の老人ホームや介護施設を作る案に近い。高齢者や要介護者が帰還しようとしても困難がつきまとうことを暗に認めたものと言えよう。ここは高齢者や要介護者の終の棲家となる公算が高い。それにしても再来年の入居とは遅い。何十人もの高齢者が入居前に亡くなるだろう。一戸に平均3人が暮らしたとしても、15万人の避難者に対して、収容出来る人数は1万人にすぎない。

子供は放射能や学校のために帰還しないことは、同時に親たちも帰還しないことになる。若者は田舎の生活より、出来れば都会生活を好む傾向がある。では、いったい誰が元の町村に帰還するのか。子供が成人しているが、高齢者に分類されるまでは、まだ年数のある50歳から60歳までの人が最も帰還の可能性があると思われる。この人は復興公営住宅で辛抱強く待っていれば、そのうち自宅に帰って、車の運転が出来なくなるまでは暮らせるかも知れない。

今後どのような暮らしをしていくかは、その人の現在の住居、賠償額の多寡、職業、通っている病院、故郷へのこだわりなどさまざまな状況によるものだが、「一日でも早く故郷に帰還したい」との思いを貫く人はそう多くはなさそうだ。

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