日本エネルギー会議

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【北村俊郎】 復興計画のリセットを(その七)

少しでも多くの住民に帰還をしてもらうには、遅れている除染の実績を挙げることが先決だ。また、それに伴ってインフラ整備も一定の範囲で行われなくてはならない。どこもかしこも手をつけるのではなく、思い切ってゾーンを決めて、集中的にやっていく必要があるだろう。いまさら広大な山林などを除染するのは得策ではない。

住民に帰還してもらう、あるいは他から人に来てもらうには、居住環境の整備とともに、地元での雇用機会がなくてはならない。人口が激減する中、双葉郡の主要産業は何になるのか。現在、1日3000人が働く福島第一原発の廃炉工事は今後30年から40年かかる大プロジェクトだ。廃炉関連の国際的研究施設の建設も期待される。廃炉に伴う膨大な放射性廃棄物の行き先はまだ決まっていないが、県外で受け入れる可能性のある自治体は見つからないと思われ、輸送のことも考えれば、結局原発周辺の地元に依存せざるを得ないだろう。また、そのようにすべきと発言している住民も少なくない。

茂木経済産業大臣が示唆したように、福島第二原発も廃炉の可能性が否定出来ない。第一第二原発が同時に廃炉工事を進めるとなると数千人の雇用が生ずることになり、かつて原発と火発で雇用していた1万人規模の雇用に対して半分程度の雇用復活が成し遂げられる。

汚染した第一に比べて、第二は汚染していない部分が多く、第一第二原発の間で作業員をやりくりすることで、第一の被ばく限度のために雇用期間が限られるという問題の緩和も期待出来る。現状はいわき市や南相馬市から福島第一原発に通勤する作業者がほとんどだが、今後は原発周辺の町村に居住して廃炉工事に参加する作業者も現れる可能性が大きい。このことは除染や放射性廃棄物の処理処分の関係者に対しても言えることだ。廃炉などには元住民だけでなく、他県からの技術者、作業者も従事するため、定住とはいかないまでも周辺の町村にとっては一定の人口回復要因となりうる。

双葉郡の除染の作業はこれからが本格的になり、数年から10年は続くと見られる。これに従事する作業者の数も膨大なものになる。そうなれば、作業現場から近い場所に宿舎や事務所を設けることが合理的だ。除染により発生する放射性廃棄物の処理と中間貯蔵は双葉郡内の町で地盤調査が始まっている。建設が始まれば、建設、搬入、管理のための作業員も増える見込みだ。除染も廃炉工事とともに長期にわたって雇用面、税収面での大きなポテンシャルと言えよう。

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