日本エネルギー会議

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【北村俊郎】 復興計画のリセットを(その四)

今までのどのアンケート結果でも、除染などの状況にかかわらず、早く帰還したいと希望しているのが高齢者だということは明らかだ。汚染や避難の状況はまったく異なるが、チェルノブイリ事故の際にも、どうしても故郷で、自分の家で一生を終わりたいと希望する老人たちが、特別の許可を得て高線量の区域で生活を続けたことが報告されている。

福島第一原発の事故の場合も、ごく少数ではあるが、区域解除されれば、真っ先にそのような行動を取る人が出ると考えられる。また、避難解除準備区域や居住制限区域ともなれば、解除後は一定の高齢者の帰還が期待される。彼らは年金生活者であり、また野菜など自給自足と子供や親戚の支援を受けてきたので、除染さえ出来れば帰還して以前と同じような生活を出来る。ただし、自治体はこれらの人々に対して、生活物資の購入、医療面の支援を以前より厚くする必要がある。以前は買い物や通院を子供たちや近所の人たちがカバーしていたが、これからは期待出来ないからだ。

現在、川内村のように区域指定は解除され、除染も済み、郡山市より放射線量が低いところでも、人口の二割程度しか戻っていない。この事実は、すべての高齢者が戻って暮してはいないことを意味している。川内村などの高齢者にも戻らない理由がある。戻れば、現在避難している都市部より買い物や通院が確実に不便であることがわかっているからだ。家賃の負担のない都市部の仮設住宅や借り上げ住宅のある限り、そこにとどまり続ける方が快適なのである。彼らがさらに歳を取れば、あるいは身体が衰えれば、老人施設や介護施設に入るほかなくなる。自治体としては、高齢者対策として、元の町に老人施設、介護施設を完備してそこに彼らを収容する必要がある。高齢者は設備の整った老人施設に待たずに入れれば、元の町で住むことを歓迎するだろう。これまでは、入所申し込みをしても何十人待ちという状況だったからだ。だが、そこで問題はあいかわらず利便性にこだわる高齢者の存在と、その施設で働く人を確保出来るかという問題だ。また、高齢者の子や孫も遠くの避難先から面会に来るのが負担となり、足が遠のく恐れもある。

現実的には多くの住民が避難しているいわき市や郡山市や会津若松市など都市部に、その自治体専用の老人施設、介護施設を建設し、そこの従業員として、元の住民を優先的に雇用することだ。そうすればまだ働ける住民の雇用確保にもなる。それでも従業員を確保出来ないとき、都市部であれば人口が多いので比較的容易に従業員を確保することが出来る優位さもある。また、都市部に避難している高齢者の子供や孫などもいつでも会いにくることが出来、高齢者や住民にも歓迎されるであろう。国や県からの手厚い支援がある間に、自治体が独自にあるいは隣接町村と組んでこのプランを実現してはどうか。

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