日本エネルギー会議

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“活断層騒動”を生んだ規制委有識者会合とは何だったのか

原子力発電所の再稼働を巡って、敷地内の破砕帯が「活断層」であるかどうかを調査する原子力規制委員会の有識者会合が大きな注目を集めてきたが、12月3日に開かれた規制委定例会合で今後のあり方見直し方針が確認された。法的裏付けのない有識者会合の評価結果に関わらず、破砕帯問題は規制委の「安全審査」で最終判断するというものだ。

これまでは、調査・議論が再稼働に必要な「安全審査」の前段階で行われ、少数の専門家で進められた有識者会合の評価を規制委が事実上、“追認”してきたという印象がぬぐえない。その過程で、事業者と見解が対立するケースが目立ち、「安全審査」に入る時期が遅れて、あっという間に歳月が過ぎた。“活断層騒動”に振り回された2年間といってよかろう。

背景には、座長として有識者会合を主導した規制委の島崎邦彦・前委員長代理の「事業者が活断層でないとの証明をできなければ、グレーはクロ」とのスタンスがかなり影響していると問題視する専門家は多い。

このため、規制委の事務局である原子力規制庁職員を含め、有識者会合と事業者との議論に長い時間が割かれ、結果的に審査作業全体が大幅に遅れる要因ともなった。こうした事態を受けて3日の規制委定例会合では、有識者会合での評価と「安全審査」の関係について、方針確認が行われたと理解できる。

◆法的権限なき有識者会合での評価と「安全審査」を区分け
原子力規制庁は規制委定例会合に「敷地内破砕帯に関する有識者会合の進捗状況について」との資料を提出したが、ここには、次のような文言が書かれている。

「有識者会合での評価は、旧原子力安全・保安院が行った調査結果に基づき各事業者が実施した敷地内破砕帯に関する地質調査について、有識者が専門的知見を基に評価を行い、原子力規制委員会に報告するもの。他方、新基準への適合性審査(安全審査)は、原子力規制委員会が『核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律』(原子炉等規制法)に基づく許認可を行うにあたって、審査会合やヒヤリングを通じて審査を行った上で処分を決定するもの。敷地内破砕帯の活動性についても、設置変更許可を行う際の審査項目の一つとして位置づけられており、有識者会合による評価にかかわらず、原子力規制委員会が審査を行った上で許認可の可否を決定する必要がある」という内容だ。

つまり、有識者会合に原子炉の運転禁止や廃炉に関する法律的権限はなく、あくまでも法的判断を行う規制委への“報告”にとどまるものと明示したわけだ。

こうした基本認識を確認し、今後の対応については「有識者による評価が分かれる部分があれば、その旨を明記した上で評価書をとりまとめていく。新基準適合性審査にあたっては、原子力規制委員会が審査を行い、許認可の可否を決定する。有識者会合による評価を重要な知見の一つとして参考とする他、事業者から追加調査等による新たな知見の提出があれば、これを含めて厳正に確認を行っていく」とし、有識者会合の評価は“参考”である点を明確にしたのである。

◆当初からプロを排除していた有識者会合の人選が発端だ
破砕帯調査は旧原子力安全・保安院時代からの継続案件であり、日本原子力発電・敦賀原発や東北電力・東通原発など全国6サイトが対象。規制委が発足して間もなく「安全審査」に先行する形で、有識者会合による破砕帯調査はスタートした。

だが、その時点からすでに問題点は指摘されていた。問題の中心は、会合メンバーの人選。このあたりの事情について、今年9月、規制委員に就任した石渡明・元日本地質学会会長(元東北大教授)は3日の定例会合で「有識者会合立ち上げのとき、私は関係学会のうちの一つの会長をしており、人選を要請された。(人選にあたって)過去に原子力発電所の審査、評価に関わった人は選ばないようにという条件を付けられたので選考に大変苦労した」と、当時を振り返っている。

専門家が危惧したのは、地質関係の研究者の中でも特別な知識と経験が求められる原発の地質調査の専門家が当初から除外されていたという事実だ。こうした結果、“活断層”を巡る議論が日本の原子力、電力体制の将来をも左右する重大問題に発展。今なお、原電・敦賀2号機の運転禁止、原電の存亡、同社と共存してきた福井県敦賀市の衰退などと大きく関わるとともに、東北電・東通原発を巡る議論も長期化しており、規制委の対応が問われる要因の一つともなっている。

有識者会合評価と規制委による「安全審査」の役割明確化を機に、これまでの有識者会合がもたらした混乱を十分に検証する必要があろう。その上で規制委・規制庁としての公平性を確保し、真に原発の安全性向上につながる道筋と体制を築き上げ、同時に審査の適正化、効率化にもつなげるように求めておきたい。

2014.12.10
日本エネルギー会議事務局

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