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3億人が電気の恩恵を受けていないインドから“もんじゅ”に感謝

日本原子力産業協会が主催する「第48回原産年次大会」が4月13、14の両日、東京・有楽町の東京国際フォーラムで開催された。「なぜ原子力か?」を基調テーマに掲げ、世界各国の原子力関係者らが参加、原子力発電の今後の展望や課題などについて議論した。

特別講演した国際原子力機関(IAEA、本部・ウィーン)の天野之弥事務局長は「原発はエネルギーの安定供給で経済を支え、国の競争力を高める。世界的に活用の方向にある」と述べ、原発の必要性を強調した。

これに続いて、13日のセション1「なぜ原子力か―世界の観点」では、参加各国の原子力の専門家らがそれぞれの国のエネルギー事情と原発の開発・研究の実状などを紹介した。この中で印象に残ったのは、インドにおける原子力関連の研究開発活動に長年従事し、現在もインド原子力学会の会長を務めるシブ・アビラシュ・バルドワジ氏の野心的な講演であった。

◆日本の原子力黎明期を思い起こすインドの挑戦
中国に次ぐ約12億3600万人(2012年時点、世界保健機関統計)の人口を抱え、年平均6~8%の経済成長を目指すインドにとって、電力供給の確保は大きな課題。現在でも3億人以上の国民が電気の恩恵を受けられないのが実情であり、さらには発電のほとんどを石炭火力に依存しているという。

大気汚染問題も深刻化しており、石炭の埋蔵量も枯渇してきているため、原子力発電と再生可能エネルギーの比率を高めていくことが喫緊の課題。中でもベースロード電源である原子力への期待は大きく、現在は21基の原発が稼働しているだけだが、地球温暖化問題への対応にも配慮、2032年には総発電量に占める原子力比率を10%に増やし、2050年代には50%程度を目指しているそうだ。

◆「もんじゅ」に学んだという現実を日本は自信に
その中で、長寿命の放射性廃棄物の削減を図るために、30年間にわたって高速増殖炉(FBR)の研究開発、導入にも力を入れており、原子力開発計画の第2段階はプルトニウムとウランを利用した高速増殖炉が中心になるという。

さらに、FBRの研究開発・導入に関連して、日本原子力研究開発機構の高速増殖炉原型炉「もんじゅ」を取り上げ、「『もんじゅ』から多くの技術を学んだ。これを基本にして取り組んできたのが現実だ」と明かした。

最後に「原子力発電は地球温暖化問題を克服し、ベースロード電源として欠かせない技術。世界が協力し、安全で信頼される原子炉の研究を進めていかなければならない」と述べ、「インドは日本がこれからも世界に貢献してくれるものと期待している」と結んだ。

日本が取り組んでいる核燃料サイクル計画の中核をなす「もんじゅ」は1995年のナトリウム漏えい事故や2010年の炉内中継装置落下事故などで、現在は「存亡の危機」に瀕している。しかし、インドだけでなく世界各国が注目しているのが現実だ。

原子力機構の新理事長に4月1日、元三菱重工業副社長の児玉敏雄氏が就任、新たなスタートを切った。バルドワジ氏の言葉からたくましい「挑戦魂」を呼び覚まし、世界的な技術への注目度を改めて認識してFBR技術の完成に向けて歩み始める責務があるのではないか。「もんじゅ」を“不運の原子炉”に終わらせてはならない。

2015.4.14
日本エネルギー会議事務局

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